落陽の瞬間って、何故か切なくなって涙が溢れてしまう。







　「兄さん、あのね…」

　ひとつひとつ、噛み締めながら。

　「今度ね、私結婚するんだ」

　大切な言葉だから、しっかり伝えたい。






　おめでとうの一言は。
　すごく重い。
　其れは祈りでもあるから。
　これから歩く道は険しいからこその、願いだから。



　「まぁ…できちゃった結婚だけどね。でも私後悔してないよ」



　宿る暖かさを大事にしたい。
　愛しい気持ちをこれから積み重ねて、明日へ、明日へ。
　私達は生きている。






　「―――祝福、してくれるよね…？」








　昼と夜の狭間、オレンジ色の空を仰いで。





　「見守ってね…兄さん」


　この空の色が大好きだった、遠くの兄に伝えた。